ほそ川 (東京 両国)
4.ハングリー精神を維持する秘訣
■弟子に求める5つのこと
店の若い子たちには最低5年は勤めてほしいと思ってるけど、なかなか長続きしないね。 俺が口うるさく言っているのは、「返事」と「言われたらすぐやる」という二つ。 簡単そうだけど、これができないんだよね。 「俺の仕事を見て同じようにやれよ」ともよく言うね。 仕事に自分の考えを入れるのは、独り立ちした後の話で、うちにいる時は、俺の真似をして徹底的に覚え込むことが大切だと思う。 料理人以前に、人間として、「物を大切にすること」と「礼儀」も守ってほしいね。これができないようじゃ、どんな仕事に就いても上手くいかないよ。
仕事は朝7時から。今いる子たちは、6時過ぎには来てるね。 夜は早いと9時半頃に帰れる。前は夜中の12時頃までかかっていたけど、俺が掃除を手伝うようになって早くなった。 一つを終わらせたら次、じゃなくて、やっている間に、次を考えて段取りするから。その癖がついたのは、吉川時代だね。 あの頃は本当、よく働いたよ。 朝は暗いうちに起きて片道40分かけて柏の市場に行って。 市場の中は早く回っても30分じゃ終わらないから、往復すると軽く2時間はかかるの。 それから、穴子を割いて、だしを取って、そばを打ってと、仕事は山積み。朝ごはんが食えない日もしょっちゅうだった。
そのまま営業に入って、店が静かになった頃に裏に回って製粉に取りかかって、天ぷらの注文が入れば着替えて揚げて、出前だっていえばバイクに股がってビャーッて飛んで行って。 そば屋としてやっていきたいなら、そのぐらいの忙しさは覚悟しなきゃ。うちは厳しいから体力的にも精神的にも辛いとは思うけど、今の生活に耐えられれば独立後も多少のことでは辛く感じないと思う。 後で得をするのは自分なんだよね。
■旨いもの巡りがモチベーションの源
若い頃に比べると疲れることは多いけど、旨いものを食いたいという欲求は変わらないね。 この気持ちがある以上、俺もまだ大丈夫かなと思う。よそで旨いものを食べると、元気になるし、やる気が出てくるんだよね。 旨ければジャンルは関係ないよ。 とにかくいろんなものが食いたくなるの。
最近、よく顔を出しているのは、鮨では銀座「小笹」さん。 おやじさんは俺より2歳上なだけなんだけど、もの静かでいいんだよね。 「このネタはどこそこの産地で」なんて余計なことは言わない。技術を磨いてきた職人という感じがあるね。 鮨では練馬の「田吾作」さんもね、素材の組み合わせ方が勉強になるし、日本料理なら神楽坂の「小室」さん。 頻繁には行けないけど、去年食べた鱧は絶品だった。あとは、同じ神楽坂の「山さき」さんも旨いね。
ここ3週間ぐらいはピザ屋をずっと回っていて、森下にある「ベッラ ナポリ」南新宿にある「イル・ペンティート」はよかった。 生地が薄っぺたくて、キャベツだけとか、すじの煮込んだのがのってたり。 また行きたいと思うのは、やっぱり仕事が出来る人の店だね。 自分のところでも旨いものを出してやろう、って気合いが生まれるんだ。 逆に、高い割にはいいネタが入ってなかったり、口ばっかりで腕がなかったりするとがっかりしちゃうよ。
■次の夢は、カウンターのある小体な店
両国に店を開いて8年目になるね。 こっちに来て覚えたのは、買い物する楽しみ。この前、初めて靴を誂えて。 洋服を買うのも好きだね。 今、凝っているのはオレンジ色。帽子、シャツ、ジャケットと揃えているの。 そうやって欲しいものを買えるようになったのは、本当に幸せだよね。 ただね、最近、もう少し中(都心)に行きたいなという気持ちも出てきた。 ここは店自体、広すぎるなとも思っているんだ。
次にやるとしたら、もっと小さくて、入っても15人程度の店がいいね。カウンターがあって、テーブルは1卓ぐらい。お客さんの顔が見えるし、そばもすぐに出せるでしょ。 メニューは天ぷらはやめて、そばだけに絞りたいなとも思っているの。 それなら俺とあと一人いれば営業できるじゃない。 場所?そうだね、今、思い浮かべているのは、千代田区あたり。 静かでいいよね。 移転の資金に、宝くじでもあたらないかなって思っているんだ(笑)。
<お店情報>
店名 | : | 江戸蕎麦 ほそ川 |
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住所 | : | 東京都墨田区亀沢1-6-5 |
TEL | : | 03-3626-1125 |
営業時間 | : | 11時45分〜14:45分(L.O.) 17時30分〜20:45分(L.O.) |
定休日 | : | 月曜、第三火曜 |
アクセス | : | 地下鉄両国駅より徒歩1分 JR両国駅より徒歩7分 |
メニュー | : |
詳細は 「ほそ川HP」 をご覧ください。 http://www.edosoba-hosokawa.jp/ |