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村屋東亭 (茨城県鉾田市)

3.これから生まれゆく味

■蕎麦打ちのこと、つゆのこと

鴨南ばん

鴨南ばん 1,200円

今、出している蕎麦は、そば粉10に対してつなぎ2割を加えた外二です。 十割で打っていた時もありますが、生粉打ちはたくさん食べるにはくどい気がしてね。 年間通じて同じ味を出したいという気持ちもあるし、蕎麦って好きな人は2日に1回とか、頻繁に食べるものでしょ。 値段もあまり高くしたくないんです。 実際、うちはこの二十数年間、一度も値上げしていません。  蕎麦って手間をかければかけるほど、おいしくなるものなんですね。 だから、手間は惜しみませんが、蕎麦打ちの技術に関しては、私はつまづいてしまった。 包丁の仕事に良くないクセがついてしまたんです。  その原因は打ち台の高さを勘違いしたこと。 自分の背丈に対して高い台で包丁を使った結果、肩が上がって体勢が崩れたまま切っていたんですね。  木鉢の仕事や延しなら後からでも直せるけれど、包丁は一度、クセがつくとなかなか抜けない。 これまで弟子を一人として取ったことがないのも、この技術的なつまづきが理由なんです。 周りの人には、今のままで十分だと言われても、自分では納得がいかない。まだまだ、なんです。  つゆについては、片倉先生から教えてもらったものから、だいぶ味を変えました。 先生はだしに椎茸を使うけれど、私は利尻昆布と本節だけ。 一時期、懐石料理の方からのアドバイスで、かえしの割合も少なくした薄いつゆで出したこともあります。 そのほうが蕎麦風味が立つと思ったんですね。 ところが、つゆを薄くしたら、お客さんがどんどん減っちゃって。 懐石のように最後に少し食べるならいいんでしょうが、蕎麦だけ食べるにはやはり、ある程度の濃さは必要です。 とはいえ、あまり濃過ぎても自家製粉の蕎麦に合わない気がして、今は13%にしています。

ご主人と女将さん

ご主人と女将さん

■反発していた息子が蕎麦の道へ

もし、これから蕎麦屋をやろうと思っているなら、若いうちに始めたほうがいいと思いますよ。 お客さんがたくさん入れば入ったでくたびれて続かないし、逆に、売れないとバカらしくて辞めたくなる。 若いうちは、なにがなんでもという気持ちがあるから頑張れるように思いますね。  私も若い頃は朝早くから夜遅くまで、本当に忙しく働いた。 子どもと顔を合わせる時間もなく、息子(長男の草さん)が高校の時に、空手部でレギュラーになっていたことすら、まったく知らなかった。  そのせいで、子どもには反発されましたよ。 親父のようにはなりたくないと、息子は高校を出ると日本料理の道に進みました。 それでも、蕎麦に興味はあったんでしょうね。 東京・中野の「さらしな総本店」さんで蕎麦打ちを習い、現在は小平に「吟」という店を構えています。 最近は以前にも増して熱心で、店で使う粉を挽く・脱皮するために頻繁に帰ってきます。 親父の気持ちがいくらかわかってきているかな、とも思いますね。

■蕎麦好きの小六の孫に託す夢

今、私には二つの目標があるんですよ。一つは、空手をしている子どもたちのために道場を建てること。 私自身、空手をはじめ武術を嗜んでいますが、稽古は体育館などを借りてするのがもっぱら。 だから、空手専用の稽古場を作りたいと思っているんです。  そして、もう一つは、この店を孫に継がせることですね。 息子の孫は小学校6年生で、娘の孫は中学一年。 二人とも蕎麦が好きでね。 食べるのはもちろん、作るほうにも興味も持っていますよ。 殻むきした実から黒褐色の粒を取り出す作業を頼むと、何時間でもやっていますから。  そろそろ蕎麦打ちを教えて、ある程度、覚えたら、よその店に修業に行かせたい。 修業先は決めていませんが、私がそうだったように、人間的に成長できるようなところに預けたいですね。

そばがき わさび花芽 みがきにしん 店内の様子

そばがき
1,000円

わさび花芽
300円

みがきにしん
400円

店内の様子

<お店情報>

店名 村屋東亭
住所 茨城県鉾田市安房1418
TEL 0291-32-3173
営業時間 11:30~17:00(売り切れじまい)
定休日 水曜日、ほかに月1回不定休あり
アクセス 鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 「新鉾田駅」 よりタクシーで約8分
メニュー もりそば 840円  かけそば 700円
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