そば・うどん業界.comへのお問い合わせ 出展・広告掲載について メールマガジンについて

江戸蕎麦手打處 あさだ

3.八代目・若旦那の平成大改革

ゆったりと呑めるそば屋に

実家に戻ったのは30歳のときです。 私が戻るのに合わせて、店舗を改築して、営業時間やメニューもすべて見直しました。  もともとうちは昼の営業が主体で、夜は7時半には閉店していました。 だから、子どもの頃は家族全員で晩ごはんを食べられた。 それはそれで幸せなことですが、私は夜の集客を増やすことを第一に考えました。 営業時間を延ばすとともに、日本酒の種類を増やし、酒肴にも力を入れるようにしたのです。  たとえば、にしんの西京煮は、京都から取り寄せていたのを自家製に切り替えました。 穴子の塩焼きも、毎朝、築地で穴子を買って店で仕込んでいますし、からすみも手作り。 他にも、杉板で供す焼き味噌など、お酒を召し上がる方に喜んでいただいています。

 リニューアルに伴い、思い切って丼ものをなくすことにしました。 ごはんものを食べたい方の足は遠のいたかもしれません。 ただ、ご常連さんには、馴染みのそば屋がこだわりの店になっていくのを、快く思ってくださる方のほうが多かったように思います。 それまで昼にしか見えなかった方が、夜にも来てくださるようにもなりましたから。

江戸前穴子せいろ

江戸前穴子せいろ 1360円

手打ち・自家製粉を断行

現在、そばはすべて十割の手打ちです。 5年ほど前から、そば粉も丸抜きから自家製粉するようになりました。  機械打ちだったそばを手打ちに切り替えることについては、親父からずいぶん反対されました。 一日200食も出るのに、全部手打ちで賄えるわけがないと言われました。 いくら説得してもわかってもらえないので、これはもう、実力で見せるしかないと思い、大晦日の前の晩、一人、徹夜でそばを打ちました。 「一年で最も忙しい時でもできるのだから、これからは全部手打ちに切り替えたい」。 そう訴えたところ、ようやく納得してもらえました。 何ごとも理想を語るだけではダメで、その理想を形にしていく努力をし続けることで、初めて認めてもらえるんですね。

 当初はつなぎ2割の二八そばを打っていました。 ところが、自家製粉になったことや、技術が向上したこともあって、3年前からすべて十割に切り替えました。  それまで手打ちや自家製粉に反対してきた親父ですが、最近は雑誌などに 「自家製粉、十割そばの店」 として紹介されると嬉しそうに常連さんに見せていますよ(笑)。  そばを手打ちに切り替えたのを機に、うどんをメニューから外しました。 製麺機自体、廃棄してしまったので。 ただ、不思議なもので、十割でそばを打ち始めた頃から、うどんもやってもいいかな、と思うようになった。 気持ちに余裕が出たのかもしれません。  もちろん、出すからには、そばと同じレベルの、こだわりのあるものでなくてはならない。 そこで、うどんも手打ちにして、冬期限定で鍋焼きうどんを復活させたところ、お客さまに大好評。 これは続けて行きたいですね。

8代目 粕谷育功さん

8代目 粕谷育功さん

合い言葉は 「One for All !」

親父とは、今もときどきやり方の違いでぶつかり合うことがあります。 親父はその時代に合った方法を選択してきたわけですから、それを否定する気持ちはありません。 ただ、僕は僕なりに、今の時代に合った進化した方法を模索している。 「いいものをだしたい」 という気持ちは一緒なので、そこさえブレなければ、多少、ぶつかるのは仕方ないかなと思います。  調理場のスタッフは現在4人。 募集をかけたこともありますが、うちのホームページを見て、「働きたい」 と来た人もいる。 そういう子は、大抵、長続きしますね。  私が考えるスタッフの理想像は、体が丈夫で、元気があって、返事がいいこと。 私も返事のよさは抜群ですよ(笑)。 もっとも、返事がいいというのは、私に言わせれば当たり前のこと。 教えるほうも仏様ではないから、返事しないような子には教えたくなくなります。 自分自身、損をしてしまうんです。  ラグビー部時代は、「打てば響くのでは遅い。打つ前に響け」 と、先輩からよく言われたので、気遣いや素早い行動が身についたように思います。飲食の世界に入った当初も、辛いと感じたことはありません。 むしろ、ラグビー部に比べたらラク。  “根性練”なんてことはないですから(笑)。  店主として私が心がけているのは、調理場の和はもとより、調理場とサービスとの連携です。 働く人たちの気持ちが一つになってはじめて、いいお店になると思うからです。  だから、いつもみんなにこう言っています。  「One for All , All for One!」

 

2011年3月取材

あさだ味噌杉板焼き 鍋焼きうどん かけそば

自家製 からすみ

あさだ味噌杉板焼き
730円

鍋焼きうどん

1200円

(夏季除く)

あられそば

1200円

(冬・春限定)

<お店情報>

店名 江戸蕎麦手打處 あさだ
住所 東京都台東区浅草橋2-29-11
TEL 03-3851-5412
営業時間 平日 11時30分〜14時30分 17時30分〜21時 (L.O.)
土曜 11時30分〜14時30分 17時30分〜20時 (L.O.)
定休日 日曜、祝日
アクセス JR浅草橋駅 東口より徒歩3分
都営浅草線浅草橋駅 A4出口より徒歩2分
メニュー 詳細は 「江戸蕎麦手打處 あさだ」  をご覧ください
  • 前のページ
  • 1ページ目
  • 2ページ目
  • 3ページ目
  • 一覧へ戻る