千歳船橋 長寿庵
地元で愛されるそば店の、名物親子丼に遭遇！
天丼にカツ丼にカレーライス。 そばを手繰るだけでなく、ダシのきいたつゆを生かしたご飯ものも、そば屋の魅力的なメニューのひとつです。 所は、買い物かごを下げたおばちゃんや散歩中のおじいちゃんが行きかう住宅地、小田急線・各駅停車駅の千歳船橋駅近く。 「赤坂支店 長寿庵」の風格ある看板を掲げるそば店があります。
千歳船橋 長寿庵 （クリックで拡大）
町場のそば店の佇まいながら、こちらの親子丼は、出前も含め一日になんと200食以上も出たことがあるという伝説の一品なのだとか。 親子丼は、950円の並、1250円の中、1350円（吸い物付）の上の3種類があり、さっそく並と中を注文。
親子丼 950円
おおっ！ 丼の中央には太陽みたいにまん丸の艶やかな黄身が鎮座。 そしてお重で運ばれてきた上・親子丼には、目玉のように並んだ黄身が二つも！ そばつゆで味付けたシイタケも散らされています。 鶏の身は柔らかく、グリンピースがほどよいアクセントに。 最初はそのまま楽しんで、半ばで黄身をくずして全体に絡めながらいただけば、なめらかな食感に、われわれ取材陣の箸も思わずグングンすすんでしまいます。
「この親子丼はね、私が修業した赤坂長寿庵本店で習ったもの。このあたりは学生さんも多いから、ボリュームがでるよう黄身を二つのせたメニューもつくったんですよ」 と、ご主人・近藤秋三さんはニコニコと話す。
鶏は大山鶏の胸と挽いた肉の2種を用い、相模原の生産者より直接取り寄せた卵は、弾力があり、甘みもある。米は、近藤さんの故郷新潟県産のコシヒカリときたら、そりゃ美味しいわけです！
主人の近藤秋三さん
ところで、「長寿庵」 の看板を掲げるそば店は、関東を中心におよそ400軒もあるといわれており、大きく分けると、「十日会」 「四之橋会」 「采女会」 「実成会」 という4つの系統にわけられます。 近藤さんは、自身が修業を果たした 「赤坂 長寿庵 本店」（十日会） の味を基本に据え、昭和40年にこの地で開業。 現在は100種以上にもおよぶメニューを展開しています。
数あるメニューの中でも、親子丼とともにファンが多いのが、毎朝近藤さんが手ごねする特製茶そば。 １キログラムほどのそば粉に対して数グラム程度の抹茶を入れるお店が多い中、こちらでは宇治産の抹茶を45グラムも使用。
口に含むと、抹茶の豊かな風味が広がります。 お近くにお住まいだった名優・故森繁久弥さんは、近藤さんの店が開業まもない頃からの常連で、中でも特製茶そば天ぷらざるが大のお気に入りだったといいます。
「出前にもよく伺いました。2階のお座敷には、森繁さんから頂戴した調度品を飾らせていただいています」と近藤さん。懇意にされていたことが伺えます。
