京都 大文字蕎麦 8月16日 送り火を見ながら蕎麦を頂く
毎年8月16日荘厳な夏の夜空をくっきりといろどる京都「五山送り火」。
祇園祭とともに京都の夏を代表する風物詩の一つです。
午後7時50分頃から京都市内のビルが照明を落とすと、市中は静寂と独特の厳粛なムードに包まれ、まず、午後8時に東山如意ヶ嶽 （ひがしやまにょいがたけ） に大の字が浮かび上がります。続いて、8時10分に松ケ崎西山に「妙」・東山に「法」、15分に西賀茂船山に「船形」、衣笠大北山に「左大文字」、最後に20分に嵯峨鳥居本曼荼羅山「鳥居形」が灯ります。
各山とも約30分間、火が灯り続ける五山の送り火は、京の夏の終焉を飾る行事として知られています。
【精霊を送り、また、無病息災を願う】
送り火そのものは、ふたたび冥府にかえる精霊を送るという意味をもつ宗教的行事ですが、これが一般庶民も含めた年中行事として定着するようになるのは室町時代から江戸時代以後のことであるといわれています。また、現在の五山の送り火は山において点火されるという精霊送りの形態をとっています。
京都では、「大文字焼き」ではなく「送り火」あるいは「大文字（だいもんじ）」と呼ばれるのが通例との事です。
【送り火を見ながら蕎麦を頂く】
東京にお移りになられる明治維新までは、京の御所では宮中の人々が廊下に出て、御所の池の面に映る大文字の火をご覧になり、女官以下下働きの衆にまでそば振る舞いがあったそうです。 廊下でいただくので「お廊下」ともいったようです。この御所の習慣が民間に伝わって「大文字蕎麦」（大文字の夜のそば）になったといわれています。